ビビり投資家のNISA・iDeCo運用記

損するのが怖くてたまらない。そんな私の、新NISA・iDeCoとの泥臭い付き合い方。

【哲学】「何もしない」という、最も困難で贅沢な投資法について。

投資の終わり、そして思索の始まり

年始にNASDAQ100への一括投資を終えてから、私の証券アプリは静まり返っています。 昨日や一昨日のような嵐が来れば少しは騒がしくなりますが、基本的には「ただ持っているだけ」。かつて積立投資で毎月の設定に頭を悩ませていた頃が懐かしく思えるほど、今は「することがない」のです。

しかし、この「空白」の時間こそが、投資の本質を問い直す哲学的な時間であることに気づきました。

目次

  1. パスカルが喝破した「人間の不幸」
  2. 老子の「無為自然」とガチホの精神
  3. 「時」という、最も高価な資産を味わう
  4. 結びに:凪(なぎ)の海をゆく

1. パスカルが喝破した「人間の不幸」

フランスの哲学者パスカルは、その著書『パンセ』の中でこう述べています。

「人間の不幸などというものは、どれも人間が部屋にじっとしていられないことから起こる。」

これは、まさに現代の個人投資家のためにあるような言葉です。 画面を見て、何かを分析し、売買ボタンを押したくなる。それは「何かを成し遂げたい」という高尚な意志ではなく、ただ「じっとしていられない」という人間の弱さ(退屈への恐怖)に過ぎないのかもしれません。

一括投資を終えた私たちが今直面しているのは、資産運用のテクニックではなく、「何もしないことに耐える」という精神的な修行なのです。

パンセ 完全版


2. 老子の「無為自然」とガチホの精神

中国の思想家、老子は「無為(むい)」、すなわち「作為を捨て、自然のままに任せること」の尊さを説きました。

私たちは、自分が市場をコントロールできると錯覚しがちです。しかし、中東の情勢も、トランプ氏の発言も、半導体の需要も、個人の力ではどうにもなりません。であれば、あがくことをやめ、大きな流れ(NASDAQ100という成長の潮流)に身を任せる。

「がちほ(ガチでホールド)」という言葉は、現代における**「無為自然」の極致**ではないでしょうか。

マンガでわかる老子入門 「無為自然」の教えを学ぶ! (中国古典漫画セレクション)


3. 「時」という、最も高価な資産を味わう

50代という人生の円熟期において、一括投資がもたらしてくれた最大の利益。それは評価益の数字ではなく、**「投資について考えなくていい時間」**です。

一括投資という「仕事」を初日に終わらせたことで、私たちは自由を手に入れました。 残された時間は、チャートの折れ線グラフを追いかけるためではなく、窓辺のサボテン(カクタス)に水をやり、沈む夕日を眺め、あるいは大切な誰かと静かな時間を過ごすためにあるはずです。

「することがない」ことは、人生の豊かさを享受するための「余白」なのです。


4. 結びに:凪(なぎ)の海をゆく

相場が荒れれば不安になり、凪になれば退屈する。 人間とは、どこまでいっても欲張りな生き物です。

しかし、一括投資を終えた私たちは、もう「漕ぐ(売買する)」必要はありません。10年後の目的地に向かって、ただ船の上で横になり、星空を眺めていればいいのです。

退屈を楽しめるようになった時、私たちは「投資に使われる人」から「投資を使いこなす人」へと進化できるのだと信じています。